介護にかかるお金はどのくらいなのかと事前に調べる人はあまりいないようです。しかし、現在は75歳以上の5人に1人は要介護だと言われています。要支援を含めると4人に1人になり、単純な計算では父母と義父母のうちの1人はそれに該当することになります。
それなのでそれにかかる費用の目安を知ることは誰にとっても大切な問題です。子育てをしていく時の費用のようにきちんと目に見える形がないのがそのことにかかる費用です。それが必要になった場合には公的支援で最大限活用したいのが介護保険です。医療保険とは違って市区町村に申請をしてそれから認定を受けないと使うことができない保険です。そのことに対して自己負担額の目安となる介護保険はそれぞれの地方の自治体が主体となって取り扱っている保険になります。
それなので介護サービスをどこの地域で受けるのかなどにより、サービスを利用するための自己負担額に差が出る場合があります。しかし、その割合は一律でそれにかかる費用の1割(一定以上の所得がある場合には2割)の自己負担で利用できることになっています。その、サービスを受けることを希望する人に対しては、その人がどのような認定になるのか認定の程度により、一ヶ月に利用できる保険の限度額が決められており、それを超えた分の費用の自己負担額は全額自己負担になるということになっています。
申請して認定を受けるためには主治医の意見書、家族の日記などにより判断される一次判定で正しく認定されることが大切です。本人は普段はいつも生活の中で出来ることは無いにも関わらず医師などに話す時にはできるように見せたいとの思いから症状を軽く言いがちです。きちんとした認定を受けることも自己負担額に大きく違いが出てきます。
例えば要介護1の方が、利用限度額の165,800円のサービスを利用したいと思った場合には、自己負担が1割となりますので、その自己負担額は16,580円になり、それによって165,800円分の希望するサービスを受けることができるのです。
しかし、多くの人はその認定度によって利用できることが定められた限度内でのサービスでは満足をしていないことが事実です。介護保険は在宅ですることを重視しており、家庭に手助けをしてくれる人がいることが前提になっています。
サービスを受けたいと希望する人には、その人の身体の不都合な状態以上に、住居の場所、同居の家族の有無、また、その同居する家族の健康状態や、経済状態などにより、必要と思われるサービスが際限なく現れてきます。そして、認定度合いにより設定された限度額では十分なサービスを受けることができないのです。保険の上限を超えてヘルパーの派遣を依頼したり、保険外のタクシーや家事代行サービスなどを利用した場合には自己負担額は100%になります。
勿論、保険で賄いきれない部分の全てを全額自己負担といった形で補うことも可能です。しかし、それができる資産に余裕のある裕福な家庭ばかりでないこともあり、多くのサービスを希望しながら生活をしていかなければならない場合でも、自己負担額などを考慮していろいろなサービスの中からどれを優先して受けていくかという相談などを担当のケアマネージャーとの間で行って、自分にとって必要不可欠なサービスから順番に選んで受けていく人がほとんどなのです。施設サービスを利用した場合の一ヶ月の自己負担額の目安になりますが、個室を利用した場合や、その住環境にもより異なっていきます。
老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の一ヶ月の自己負担額の目安
【要介護5の方が多床室を利用した場合】施設サービス費の1割約28,000円・居住費約10,000円(320円/日)・食費約42,000円(1,380円/日)・日常生活費約10,000円(施設により設定されます)合計約90,000円
【要介護5の方がユニット型個室を利用した場合】
施設サービス費の1割約28,000円・居住費約60,000円(1970円/日)・食費約42,000円(1,380円/日)・日常生活費約10,000円(施設により設定されます)合計約140,000円※厚生労働省 解説 サービスにかかる利用料より抜粋
保険施設利用の場合には費用の1割(一定以上の所得がある場合は2割)の他に上記のように居住費、食費、日常生活費の負担が必要です。
この自己負担額は公的な施設になりますので負担もあまり大きくはなっていません。月の利用料は施設のタイプなどにより月約10万円から数十万円超と大きく幅があります。希望する人の全員が公的な施設に入所できないこともあり、ある程度のものは自分たちで準備が必要です。介護にかかる平均の期間は4年7ヶ月と言われています。きちんとした情報を持ち利用していけることを考えていくことが必要です。